この記事は、足立 晋平が監修しました。

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労務面や心身の健康について部下と対話を進めて行くことも多くあるかと思います。

今回のテーマは「労務面や心身の健康について、より議論を深めるためのヒント」について考えていきたいと思います。

特に上司として注意が必要なのが、「部下のメンタルが落ち込んできているのではないか」そのようなときに「心身の問題でちょっと聞いて欲しいんですけど・・・」という場面があると注意深く対話を深めていくことが必要になります。

部下としては色々なストレスや悩みを抱えており、自分ではもうどうしようもなくなってきている、そんな状況になっているのかもしれません。

その際に部下からの悩み、困りごとについて上司として必要なサポートをしてあげるのはもちろん重要です。

その上で、部下の精神的な落ち込みを整理してあげる必要があります。

そのための考え方として2つの輪」という考え方があるので、そちらをご紹介したいと思います。

2つの輪というのは以下の通りです。

①関心の輪

ここでは関心を持っていることのすべてが輪っかの中に入ります。そしてその中でも小さいほうの輪っか、「影響の輪」というものがあります。

②影響の輪

部下自身が動くことで、影響を及ぼすことができる、コントロールすることができる領域を「影響の輪」と呼びます。

部下のストレスの要因を洗い出してみると、この輪っかのいずれかに分布されるはずです。

例えば、「人間関係で隣の席のAさんと上手く行っていない。」「お客様からの評価が下がってきており、売り上げが低迷してしまっている。」「会社の先行きが不透明で自分の将来が見えない。」

色々な悩みが部下の頭の中でゴチャッと混然一体となっている場合には思考の整理が付かず、ストレスがドンドン溜まる一方です。

そういったときに部下との1on1ミーティングの中でいったん部下が不安にも思っていること、ストレスに感じていることを上司の方から拾っていってあげてください。

そして、それをこの2つの輪っかで整理をしてみてください。

例えば、「隣の席のAさんとの関係がギクシャクしている」というのは、部下にとってみるとコントロール可能な影響の輪かもしれません。

それについては具体的な対策を上司と部下で議論をして、「どうすればより良い関係性をAさんと結べるか」議論をしていくと良いでしょう。

反対に、「景気が不透明で会社の先行きが見えない。」そういった問題については、自分で影響を及ぼすことはほとんどできないことかもしれません。

そういったものは影響の輪の外にある領域ですので、「これについてはもう考えても仕方ないよね。なるようになるさ。」そんな形で部下と整理をしていく。

この悩み事が影響を及ぼすことができるのかどうか、これが整理できるだけでも部下としてはずいぶんスッキリしますし、この影響を及ぼすことができるものについて、上司とともに対策、解決策を考えられるのであれば、非常に有意義な1on1ミーティングになることでしょう。

この記事の執筆者

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足立 晋平代表取締役社長

大手人材サービス会社にて、新規事業を立ち上げ子会社の執行役員営業部長としてメンバー25 名のマネジメントに携わる。その後、グローバル展開の大手人材開発コンサルティング会社に転職。各種人材開発プロジェクトに携わる。2012年より現職。100社を超える中堅・大手企業の組織活性化や人材育成を支援。