この記事は、足立 晋平が監修しました。

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労務面や心身の健康について部下と対話を進めて行くことも多くあるかと思います。

今回のテーマは「労務面や心身の健康について、よりコーチング的な関与を深めるため」のヒントについて考えていきたいと思います。

心身の健康、特にメンタル面については上司としても注意深く部下と話し合う必要がありますが、どのように関わる必要があるのでしょうか。

基本的な流れについてまずは見ていきたいと思います。

1on1ミーティングの中で部下から精神的な面、ストレスについて相談があった場合、まず、「傾聴・共感」を徹底的に行う必要があります。話を聞き切る。100%聴く。そして、部下が感じているであろう悩みや感情についてしっかりと分かってあげる。それを言葉にする。態度で示す。

そういった傾聴や共感の姿勢が、コミュニケーションの中で8割、9割を占めると言ってもいいのではないでしょうか。

その上で、傾聴し、共感したトラブルや問題について上司として問題を解決できるのであれば、あるいは、アドバイスができるのであれば、問題解決のコミュニケーションに移っていくといいでしょう。「何が原因でそんな風になっているのか」 あるいは、「どのようなことをすれば、この状況は改善されるのか」そういった点について、1on1ミーティングの中で部下と話をする、または部下の考えを引き出していくといいでしょう。

問題は、メンタル面のストレスについては、シンプルに簡単に問題解決できないものも数多くあるということです。

特に多いのは人間関係の悩みというのは、なかなか一朝一夕で解決できない難しい問題なのではないでしょうか。

そういった場合、どうすればいいのか。

その手法の1つとして「リフレーミング」という考え方があります。

起こっているという事実や出来事は変えられないが、捉え方は変えられる。」という考え方を聞いたことは無いでしょうか?

例えば、「今、隣の席にいる方との人間関係が上手く行かない」場合、その問題はなかなか解決できそうにない。そういった場合、自分のその状況の捉え方を調整することでストレスではなくしてしまうという考え方がリフレーミングになります。

そして、問題解決あるいはリフレーミングにしても、今後どうしていくか?という行動を合意して、1on1ミーティングを終了するといいでしょう。

では、リフレーミングは具体的にどのようなことを行っていくといいのでしょう。

3つのパターンをご紹介いたします。

①時間フレーム

ストレスを抱えている部下は多くの場合、短期間「今、ここ」というところで苦しんでいます。

この今ここで苦しんでいる状況はずっと続くのか。長い目で見るとどうなるんだろうか?

そんな形の上司からの問いかけで、フレームがガラッと変わることもあり得ます。

短期的な捉え方ではなく、中期的、あるいは長期的に捉えると、どうなんだろうか。

「Aさんとの関係が上手く行かない。」

「短期的にはそうだよね。中長期的に今のこの経験から得られるものがあるとしたらどんなことなんだろうか。」

そんな形で「長い目で見る」という形で部下の思考を転換させてあげてください。

②能力フレーム

部下が自分の能力が足りないことで悩んでいる、ストレスを抱えている、こんな状況も多分にあろうかと思います。

その際、能力というものも捉え方1つでずいぶんと変わってきます。

ストレスで苦しんでいるとき、部下は自分能力を“弱み”という観点で捉えています

しかし、ほとんどの能力は表裏一体で、弱みの裏返しに必ず“強み”があるはずです。

例えば、「仕事が遅い」ということで部下が悩んでいたとしたら、「 “強み”として捉えると、どんなことが言えるんだろうか?」

このあたりで思考を転換すると、「遅いけれども慎重に仕事を進める、という自分の武器があるんだな」こんな形の気付きがあるかもしれません。

場合によっては“強み”を上司の方から指摘してあげてもいいかもしれません。

③機会フレーム

今、目の前で起こっていることを“ピンチ”と捉えると、多くの場合、ストレスになります。ピンチではない捉え方も必ずできるはずです。

「今のこの状況、お客様のこのクレームを“ピンチ”ではなく、“チャンス”として捉えるとどうなるだろうか。」

そんな形で部下との1on1ミーティングで問いかけてみると、部下の心身、特にメンタル面、抱えているストレスは変わってくるはずです。

これらのリフレーミングあるいは、問題解決を通じて、1on1ミーティングを通じてより良い部下の心身の健康を実現していってください。

この記事の執筆者

WRITER

足立 晋平代表取締役社長

大手人材サービス会社にて、新規事業を立ち上げ子会社の執行役員営業部長としてメンバー25 名のマネジメントに携わる。その後、グローバル展開の大手人材開発コンサルティング会社に転職。各種人材開発プロジェクトに携わる。2012年より現職。100社を超える中堅・大手企業の組織活性化や人材育成を支援。