この記事は、足立 晋平が監修しました。

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3.事業戦略と知的財産権(2)

さて、前回まではマーケティングミクス(4P)についてご説明してきました。今回は事業戦略における知的財産権の活用についてさらに詳しく見ていきたいと思います。

突然ですが、御社の既存商品は、なぜお客様に購入されているのでしょうか?
「製品が優れている」からでしょうか?

「価格が安い」からでしょうか?

「ブランド力(信用)があるから」でしょうか?

あるいは「提供方法が優れている」からでしょうか?

今の御社の既存商品もそうですが、新たな商品群についても同じく、この4Pのうち、「何のポイントで顧客ニーズに合致して、他社に勝っていくのか?」
“製品なのか?” “価格なのか?” “市場浸透力なのか?” “チャネルなのか?”ということ意識することを事業戦略、商品戦略を考える上では重要になってきます。

これら4Pの1つ1つが言い換えると「強み」ということができ、当然ながら強みは1つだけではなく、あればあるほど強い事業ということができます。

例えば、「製品が素晴らしい」だけでなく、「価格も安い」方が強いですし、さらに言えば、「ブランド力もあり、信頼できる」、「世界中届けられる」など、強みはあればあるほど、市場において自社が強いのがお分かりいただけるかと思います。

これらの強みは、言い換えると他社が、自社の市場に入ってこさせないようにする「参入障壁」とも呼べるかと思います。

事業戦略を推進していく上で、“商品の強み”というのはたくさんあります。
「特許権があれば勝てるか?」というと、そんなことはありません。
そもそもの製品の価値がニーズとマッチしているのか?
製品が優れているのか?
価格は安くできるのか?
市場浸透できるのか?
顧客へ届けられるのか?
このような観点があって、総合的に市場で「自社が勝てる。」ということになります。

では、例えば、特許権は、この4P分析のどこに寄与するのか?と言いますと、
特許権は産業財産権の1つであり、産業財産権は独占的に実施でき、他社も排除できる「独占排他権」であるとお伝えしましたね。
つまり、特許権があることにより、自社しかできない。あるいは、他社はその技術を使えないために、自社は安く提供できる。など、
特許権は、この4Pでいうところのproduct、priceの強みに貢献できる1つのツールと言えるかと思います。

その他にもプロモーションにおいてはブランド力が構築できているのであれば、そのブランド力を保護するために商標権を有効活用し、
顧客チャネルにおいては顧客情報等を営業機密として保護する不正競争防止法、プログラミングなどは著作権として保護されます。

知的財産権は取得することが目的ではなく、事業利益を最大化するために活用することが目的となります。

このような観点で知的財産権の活用もご検討いただければと思います。

さて、今回は、「そもそも知的財産権は必要なのか?」というテーマで皆様と学んできました。
知的財産権は、「事業戦略を優位に進めるための1つのツール」であることがご理解いただけたかと思います。

この記事の執筆者

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足立 晋平代表取締役社長

大手人材サービス会社にて、新規事業を立ち上げ子会社の執行役員営業部長としてメンバー25 名のマネジメントに携わる。その後、グローバル展開の大手人材開発コンサルティング会社に転職。各種人材開発プロジェクトに携わる。2012年より現職。100社を超える中堅・大手企業の組織活性化や人材育成を支援。